均等法

現場からの声を均等法改定に

均等法改定審議会が、いよいよ、12月27日に最終日を迎えようとしています。 のこの日に審議会の意見がまとまれば、それが「建議」となり、来年、厚生労働委員会などの討議を経て、 通常国会に提出される予定です。

●均等法改定に関し審議会の問題点として、特に、「間接差別を省令で限定列挙」、 「雇用管理区分の規定振り」などがあげられます。

<WWNと元原告は、下記の3点を要望>
1)「間接差別禁止の明記」は女性差別撤廃条約批准国として国際的な責務です。


2)雇用管理区分は、コース別差別を容認するものです。是非とも削除してください。


3)間接差別の対象を省令で限定列挙するのは反対です。禁止の原則を明らかにし、  例示するにとどめ、個別に判断していくべきです。
12月16日の第56回審議会では、住友電工の元原告・西村さんと、白藤さんによる、「実効ある間接差別禁止を法改定に!」の文章を労働委員に読み あげてもらいたいと、届けました所、連合の吉宮さんと片岡さんがその内容を、審議 会の中で紹介。雇用管理区分の廃止を強調してくれました。 この経験をふまえ、12月27日の最終審議会にむけ、兼松の原告・本間節子さん、 岡谷鋼機の原告・藤沢真砂子さんの手紙を、労働側委員にとどけます。 そして、分科会報告がまとめられる際に、現場からの報告の内容について 「現場からの危惧と切実な要望があったことを記録にとどめて欲しい」と 要望しています。

 

2005年12月20日

労働政策審議会雇用均等分科会
労働側委員各位

岡谷鋼機女性差別裁判
原告 藤沢眞砂子

法改正で「雇用管理区分廃止」と「間接差別禁止」の実現を

 
 労働側委員の皆様の審議会でご活躍に感謝申し上げております。大詰めの今、一層のご奮闘により、実効ある均等法改正になりますようお願い申し上げます。また、見出しの件について、原告としての切なる願いを下記に訴えさせていただきますので、法改正に反映して頂きますよう心からお願い申し上げます。


 岡谷鋼機は1988年6月にコース別制度を導入しました。職務の評価、職務担当の見直しなど一切せずに、男性を総合職に、女性を事務職に、例外なく一律に振り分けました。賃金は、これまでの男女別年功序列賃金表の「一般職男子」を「総合職」、「一般職女子」を「事務職」と変えただけです。また提訴の2年後始めて女性総合職を1名、その後ほぼ1~2名女性総合職を採用していますが、男性事務職はゼロです。
 労働組合は長年にわたって会社に対して賃金差別是正を求め続けておりましたが、全く改善が見られなかったので、1995年に名古屋地裁へ提訴、現在は高裁段階で争っております。
 

  男性をA表、女性をB表とした年功序列賃金の秋田相互銀行賃金差別事件で、1975年4月に原告勝利判決が出ております。賃金差別は憲法、労働基準法違反として、男性に適用されているA表との差額を請求できる権利も認めました。その後更に女性差別撤廃条約批准、均等法施行と、時代は進歩してきたはずです。しかし、2004年に出された一審判決は「憲法は直接私人間に適用せず、1986年施行の均等法は配置・昇進は努力義務に過ぎない」として原告敗訴でした。当時均等法が募集・採用、配置・昇進を努力義務にとどめることに、私どもは大変危惧し、罰則付き禁止にして欲しいと運動しました。それを、「努力義務であっても、法制化するのだから前進である」とし努力義務にしたのです。1975年に勝訴で、同ケースで2004年が敗訴となったのは何故か。均等法が成立し、「判断のものさし」が「労基法」から「均等法」になったからではないかと考えざるを得ません。
 賃金差別であると訴えた裁判の冒頭で、会社は「男女別に採用した」と主張しました。採用区分(現在は雇用管理区分)を差別を正当化する手段として企業が使っている典型です。裁判所もこれを利用し、賃金差別でなく、採用差別としてものさしを労基法でなく均等法としたのです。コース別と裁判所が判断した男女の賃金差別事件はすべてこの点で敗訴しました。


 岡谷鋼機は来年から、事務職を3年の期間限定契約社員のみの採用としました。事務職は女性だけであり、間接差別であり、さらに時代に逆行する女性の若年定年制復活です。
 間接差別を法制化していただいても、素案のような限定列挙であれば、裁判ではそれ以外は差別でないと判断するのは明らかです。
 どうか再度ご検討下さいまして、下記2点を実現してくださいますようお願い致します。

1) 雇用管理区分は廃止する。


2)間接差別禁止を明記し、限定列挙でなく、「間接差別でない」ことは企業側の抗弁を必要とする。


以上

 

2005年12月

労働政策審議会雇用均等分科会
労働側委員各位殿

兼松男女差別賃金裁判原告
本間 節子

    兼松㈱では1985年の男女雇用機会均等法ができるまで、賃金は男女別年功序列賃金でした。学歴に関係なく男性であれば高い賃金テーブルが適用され、女性は低い賃金テーブルが適用されました。その格差は勤続年数を経るごとに大きくなり女性の賃金は27歳の男性の賃金を超えられませんでした。そうした中で女性たちは男女格差縮小の第一歩として22歳男女同一初任給の運動を進め、10年かけて勝ち取りました。
 1985年に均等法が施行されるということから、会社は男女別賃金からコース別賃金に変更するとして、男性の賃金テーブルを一般職賃金、女性の賃金テーブルを事務職賃金と呼び名をかえ仕事の実態や各個人にコースの希望を聞くこともなく、男女別からコース別賃金にしたのです。そして女性たちの力で勝ち取っていた22歳男女同一初任給までくずしたのです。


 兼松に働く6名の女性で兼松のコース別は男女差別賃金と1995年東京地裁に提訴しました。しかし、2003年の地裁判決では憲法の14条(法の下の平等、性差別の禁止)の主旨には反するが、募集・採用・配置・昇進を、改正前の均等法では努力義務にとどめていたことから公序に反しない。さらに、改正均等法では強行規定・禁止規定とされたが兼松の場合、一般職への転換制度が合理的であるから、男女差別とまでは認められないという判決で全面敗訴になってしまいました。
 会社は均等法にあわせて男女差別を見えにくくする制度をつぎつぎと導入してきています。男女別賃金からコース別賃金、更に能力評価といって女性の特に30代後半からの賃金を切り下げて男女格差を拡大させています。
均等法制定から20年になりますが、兼松はその間一般職として採用した男性が737名に対し女性は18名のみ、事務職には一人の男性も採用していません。しかし、このことは差別とはみなされないのです。
職場から男女差別賃金をなくすため覚悟してやっとの思いで裁判を起こしても、司法からは差別と認められないのです。地裁での敗訴から、会社はますます男女格差賃金を拡大してきています。職場から男女差別賃金を拡大させないため、改正均等法には抜け道をつくらない実効性のある均等法が是非とも必要です。改正均等法に雇用管理区分がのこり、間接差別の限定のみの禁止では、兼松の男女差別賃金裁判の結果は地裁判決からぬけられません。

 
労働側委員の方には今回の改正均等法に下記2点をなんとしてでも反映させていただきたく、よろしくお願い致します。
1.コース別差別を容認するものになっている雇用管理区分は削除すること。


2.間接差別禁止は対象を限定することなく禁止の原則を明らかにし、間接差別にあたらないものを個別に判断していく方式を採用すること

以上

2005年12月16日

労働政策審議会雇用均等分科会
労働側委員各位殿

実効ある間接差別禁止を法改正に!

住友電工男女賃金差別裁判
元原告 西村かつみ
同   白藤栄子

 労働側の委員の皆様の日頃のご検討に本当に感謝いたしております。ぜひ均等法改正に向けた最終的な論議の場で、元原告の気持ちを披露していただきたく、下記のとおり文章を作成しました。どうかお受けとめいただき、ご発言に反映いただけますようお願いいたします。
 私たちは1994年3月に、同期同学歴の男性と比べ配置、昇進の差があるとして均等法に基づき調停申請しました。「比較対象とする男性とは採用区分が異なる」ため比較できない、との一言で、調停の不開始決定が下されました。均等法は指針・雇用管理区分で、職種の違いの名のもとに、男女差別を隠蔽したコース別という間接差別を生み出し、私たちの差別是正になんら役に立つものではありませんでした。
このままでは承服はできない、後は裁判しかないと、同期同学歴の男性と比べ賃金格差は月額
24万円以上という賃金差別是正を求めて、1995年に会社と同時に国・労働省を相手に提訴に踏み切りました。2003年12月に大阪高裁で和解が成立するまで裁判闘争は、なんと10年間もかかりました。


  裁判の中で会社も国も、「コースが異なるから格差があるのは当然」と主張。司法もそれをあと押しし、2000年7月に出された一審の判決は、憲法も国際条約も無視したもので、私たちの全面敗訴でした。憲法14条の趣旨に反する差別があるとしながら、当時の社会意識では、公序良俗違反とはいえない。また採用区分さえ異なれば、会社は是正義務さえも問われない、というものでした。裁判においても、均等法の指針・雇用管理区分の枠組みは差別是正を阻害する役割を果たしました。

 
私たちはこの不当判決に対し、直ちに控訴し、また国際機関に訴える機会を待ちました。 
おりしも2003年8月に9年ぶりに、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)にて日本政府レポート審査があり、私たちはロビイングに出かけました。本会議で委員達から、「異なった雇用管理区分のカテゴリーを均等法の指針が許容しているのは問題である。雇用管理区分という比較の仕方は間接差別ではないか」などの質問や意見がでました。そして国連は日本政府に対し、間接差別を国内法に定義するように、指針の改正にまで踏込んだ内容の勧告を出しました。
そして、CEDAW勧告の趣旨を受けた形で、大阪高裁より一審の判決を覆す内容の和解勧告が出されたのです。その和解勧告には、「間接差別に付いても十分に配慮されなければならない」とされています。私たちは10年もかかって、やっと昇格が実現しました。本当に長い闘いでした。裁判をしなくても、男女差別が解決されるよう、国連と大阪高裁の勧告の趣旨を活かし、実質的に差別是正の力となる均等法改定のために、再度、私たちの願いをご検討ください。

1)「間接差別禁止の明記」は女性差別撤廃条約批准国として国際的な責務です。


2)雇用管理区分は、コース別差別を容認するものです。是非とも削除してください。


3)間接差別の対象を省令で限定列挙するのは反対です。禁止の原則を明らかにし、例示するにとどめ、個別に判断していくべきです。

以上

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