WWN ニュースレター 2009年4月6日発行 ⑤
男女差別は認めたけれど賃金遡及は3年のみ
原田 忍(阪急交通社男女差別裁判原告)
私は1967年に、阪急交通社に中途入社し、旅客部門に配属されました。業務内容は男女とも同じです。入社以来、新設部門の新しい仕事に多く従事し、パイオニアとして軌道に乗せ、基礎作りに貢献しました。開設にも関わり、2度目に配属されたパスポートセンターでは実績を上げ、その結果、営業所の閉鎖を防ぎ、セールス部門でも成果をあげて営業所の責任者を2度勤めました。しかし、34年間勤務して退職するまで一般職のままでした。広い社内でも、私ほど多種の業務に携わった人はいないのではないかと思います。職務歴、職務内容、取得資格、業績、難易度から考えても納得がいきません。
私が昇格しないことに関しては、昇格させないように考課表を手直しするなど、複数の役員が関与していることが裁判のなかで明らかになりました。理不尽な命令に抵抗した時、「業務命令違反」ということで電話もない席に8ヶ月間座らせられました。仕事上の制限、制約、いやがらせ、いじめなどで心療内科に通い、3ヶ月の休職を余儀なくされた後、「頭のおかしな奴は辞めさせろ」と言われました。「古い女は要らない」「辞めてほしいんだよ」などと平然と言い放つのに対して、人間の尊厳を踏みにじる会社を許せませんでした。
2001年末に退職はしたものの、屈辱と怒り、悔しさ、悲しみは消えることなく、「このままでは死ぬに死ねない」と思って提訴しました。
2007年11月30日の東京地裁判決は「男女差別を認める。但し、消滅時効(民法724条 加害者、損害の認識)を援用し、遡って3年以内に生じた不法行為債権のみを対象とする」とし、差額賃金35,360円、慰謝料100万円、弁護士費用20万円の合計1,235,360円の支払いを会社に命じました。差額賃金は10年に遡って請求できると思っていたのに、判決では「3年で消滅する」としたのです。
また、「会社は男性社員を女性社員に比較して優遇している状況が看取できる」としながらも求める資格(S1)を認めませんでした。
私は直ちに控訴、会社も控訴しています。
次回裁判は5月26日(火)午前10時、東京高裁民事第12部です。ぜひご支援をお願いします。
連絡先 E-mail: shinobu.maria@ezweb.ne.jp