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wwnニュース 64号 国連からの宿題~意思決定の場に多くの女性を~

国連からの宿題  〜意思決定の場に多くの女性を〜

越堂静子

目次:1)調査結果 2)働く女性のインタビュー 3)企業インタビュー 4)番外編・街頭インタビュー

WWNは、女性差別撤廃委員会の最終見解、フォローアップ項目・暫定的特別措置に関し、実態調査結果と提案を、今夏、国連へAlternative レポートとして送ります。WWNは、正規女性社員と企業にむけ、「職場で女性が意思決定の場」にどのように処遇されているのか、約6ケ月間をかけてインタビュー調査を行ないました。なお、津田塾大学110周年記念、第一回津田梅子賞受賞のお陰をもちまして、東奔西走する事ができました。深謝です。

<ヒヤリング調査>
1)働く女性(正社員)へのインタビュー(140名)
2)番外編・街頭インタビュー     (145名)
3)国連グローバル・コンパクト署名企業を中心に企業訪問(32社)

<この調査から見えてきたこと>

1.女性活用施策が進んでいる企業
① コース別制度がない企業
② コース別制度を廃止した企業
③ 経営トップの強いリーダーシップ
④ 国連グローバル・コンパクト署名企業に参加

2.女性登用の道を閉ざす要因は、この雇用形態
① コース別制度—総合職に女性が占める割合は6%、一般職は殆どが女性
② 非正規雇用—非正規社員に、女性が占める割合は70%

3.判明した問題
新入社員募集要項を、各社のHPからピックアップするとコース別の呼称がさまざまに変更されています。従前の一般職が、名ばかりの総合職に見えるなどコース別の不可視化が見られます。各コースに配属された男女比率、賃金体系、管理職登用など処遇について、詳細な調査が必要となります。なお、呼称のみが変更され、従前の一般職(事務職)のように、低賃金で昇進しない分野に女性のみを配置すると、「間接差別のコース別」となります。

≪暫定的特別措置(雇用分野)実施にむけWWNの提案≫

1.女性の採用—管理職—役員の比率は、50%ー30%−10%を目標にする
2. 法律で暫定的特別措置を定め企業に義務づける
3.間接差別のコース別制度を容認する「指針」雇用管理区分の廃止
4.同一価値労働同一賃金を労働基準法に明記かつ、ジェンダーに中立な職務評価の確立
5.育児休業によってキャリアリセットされない職場環境を
6.女性の非正規率70%は間接差別、派遣法の抜本的改正にて非正規社員増加に歯止めを
7.選択議定書の早期批准

<働く女性のインタビューから>

1)コース別制度でない企業に勤務する女性の場合

◆テレビなど放送関係に勤務する社員の女性比率は、2008年度は、正社員のうち女性の比率が21%、管理職の中で女性が占める率は12%程度。2011年度もほぼ変わらない状況。今年7月の各局の人事発表を見ると、「均等法施行前後から、少ないとはいえ継続的に女性採用を続けてきた結果、次は役員を伺える局長級の地位に配置される女性も複数出てきた」という状況です。(放送関係の女性部長・子ども2人)
◆大学卒業後、人材サービスの企業に勤務。29歳。目下、第2子の産休中。他社勤務の夫の転勤を機に東京から大阪に転勤を希望し実現した。育休は充実している。今は、夫の転勤がどこになるかで、仕事が継続出来るのか不明。会社は、新卒採用は正社員として総合職を採用。中途採用は契約社員、実質エリア職。女性管理職は30%、その内、既婚者50%、執行役員も3〜4人で、子どもがいる人もいる。

2)コース別制度の企業に勤務する総合職の女性の場合

◆総合職として入社して18年、現在は業界の財団に出向して国際ディレクターとして飛び回っている。同期入社の女性総合職の3人のうち、一人は早くに転職したが、他の二人は子育てしながら総合職として働き続けている。しかし、私は、海外・国内の出張や残業などが多いので、子育てはほとんど姑に頼っている。子どもができるまでは、本当にがむしゃらに働いたが、いまは効率化と仕事の選別をして基本的には週末は家にいるようにしている。これも中堅世代になったからやれることで、若い時は無理だったかもしれない。仕事が面白いから、どんなピンチも乗り越えてきた。将来は部長にもなりたい。(総合商社総合職、夫、子ども2人、姑と暮らす)

3)コース別制度の企業に勤務する一般職の女性の場合

◆商社に勤務する42歳。総合職への転換が促進され、先輩が転換した。その途端、東京へ転勤命令が出て、本人は退職。今、私たちにも上司から総合職へ転換の薦めがあるが、誰も受けようとはしない。入社4年目の総合職の男性の年収が、勤続20年の自分より高いのを見て、びっくりした。仕事はやり甲斐があり誰にも負けない。管理職にはなれない一般職だけど、なれる機会があれば、チャレンジする。
◆大手都市銀行に入社。37歳の一般職。短大卒業後ずっと同じ銀行で働き続けてきた。上司から課長にならないかと打診があった。しかし、それは一般職ライン(女性ライン)の管理職で、女性社員のまとめ役など責任だけ重くなるだけ。総合職の課長と給与を比べると安くて、やっていられないから断った。
◆商社—40代、子ども1人。営業補佐(事務職)として約20年勤務。会社は、事務職、総合職の区分を一時やめていたが、最近、またコース別になった。事務職から転換者は出ていない。最近の採用では総合職24人(内、女性4人)事務職24人(全員女性)となっている。営業を任されたことがあり、それを考課に反映してほしいと申し出たが、「ここは、あなたより年上の人が多い。その人たちをさしおいて、いい考課にするわけにはいかない」と言われた。「事務職はどこまでも事務職」という気がする。
◆総合商社に入社して31年。子どもは大学4回生。入社以来、ずっと、一般職として運輸、貿易通関の仕事に従事。しかし、年収は入社5年目の27歳の総合職男性と同じである。同期の男性は、とっくに課長以上に昇格し、年収は2倍以上ちがう。自分は一般職で平社員だが、実質的に課長一歩手前の仕事をこなしている。派遣社員のとりまとめや、輸出入に関して各営業との見積依頼、料金設定、また、社員向け講習で貿易実務の講師などである。会社は一般職の人材育成というが、まだ、その恩恵は受けていない。総合職の女性は数名のみ。殆どが男性で占める総合職は、30歳までに海外勤務、または、長期海外出張などの人材育成計画がある。
◆大学卒業後、金融機関に入社し勤続7年目。一般職ライン(女性ライン)での下級管理職。会社はコース別で、転勤のない一般職を選んでの入社である。所属部署では総合職の女性は1.5%、一般職は100%が女性。転換制度で総合職に転換した人はいない。現在、同年代の総合職の男性は入社後6年目には課長代理に就いており、自分との収入差は約250~300万円である。 男性で占める総合職ラインの課長の平均年齢は一般職ラインの課長の平均年齢よりも7~8歳若く、双方の年収差は、200万円くらいである。

============ 育児休業が、キャリアリセットに ================
均等法が施行され25年も経過したのに、管理職登用はやっと始まったばかりという感が強い。しかし、育児休業制度(育休)の整備がされるなど、やはり、「法律が変われば職場が変わる」という実感を得ました。特に、妊娠、出産で会社を辞める人が少なくなったという企業が多々見受けられました。しかし、一方、育休の期間の人事評価がストップするなど、女性の昇進の道を阻みキャリア・リセットしている企業もあり、30代、40代の女性の悩みとなっています。

−−−−−−−− アンケート結果・働く女性の「管理職希望度は?」 −−−−−−−−−−−−−
働く女性インタビューで140人を対象にし「管理職を希望しますか?」「管理職になる上で問題や不安は何ですか?」という質問を、複数回答で行いました。
グラフは回答者の業種別です。年代の内訳は、20代—19%、30代—23%、40代—34%、50代—20%、管理職対象となる30代〜40代が57%を占めます。コース別のある企業に勤務している人は50%、コース別がない企業勤務の人は26%です。

●○●○●○●○  管理職を希望するのは140人中、33% ●○●○●○●○
◆「あなたは管理職を希望しますか?」に、「希望する」が33%で、「希望しない」が45%の回答でした。
さらに、「希望しない」を選んだ一番多いジャンルは一般職で、77%と、高い数値を示します。

<管理職を希望する>
一般職  23%、   総合職 55%、   コースなし企業 61%

<管理職を希望しない>

一般職  77% 、 総合職 45%、 コースなし企業 39%

☆母数は同じジャンル

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アンケート ★☆管理職を希望するかしないか・問題点と不安★☆(複数回答)

★☆一般職が管理職を希望しない理由★☆
1 訓練や経験の不足  50%
2 仕事と生活の両立  40%
3 能力に自信がもてない 30%

★☆コース別制度なしの企業勤務の女性の場合★☆

1 長時間労働、人間関係が大変 32%
2 仕事と生活の両立     27%
3 女性は期待されていない 19%

★☆管理職を希望する総合職の場合★☆
1 長時間労働 60%
2 仕事と生活の両立  50%
3 体力に自信がない  30%

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