WWNの今までの活動

倶進会への助成事業報告 2008.5.28

「同一価値労働同一賃金」の海外調査および日本での定着

申請者名: 越堂 静子

団体名: ワーキング・ウイメンズ・ネットワーク(WWN)

1.事業・研究テーマの目的

ワーキング・ウイメンズ・ネットワーク(WWN)は1995年に発足以来、女性の地位向上めざして、①同一価値労働同一賃金の実現、②間接差別の禁止を目標にして活動してきました。今般、財団法人倶進会の助成を得て、ILOおよびイギリスにおける同一価値労働同一賃金の海外調査を計画、実施し、全国連続シンポジウムの開催やマスコミ報道を通じて、日本における定着を試みました。

2.何故、今、同一価値労働同一賃金が必要なのか?

日本の労働人口6,660万人に実に82%が雇用者で、その42%を女性が占めます。

非正規労働者数は、約1,500万人、そのうち約1,021万人が女性で70%を占めます。正規社員の多くの女性はコース別制度のもとで、45歳の女性の年収は、27歳の男性を越える事はありません。

同一価値労働同一賃金は、男女間格差、正規、非正規間格差、例えば、総合職の男性と派遣社員の女性の仕事内容を職務評価して、同じ価値なら賃金是正を、という手法で、いまや、国際的な賃金格差是正の規範となっています。いまこそ、日本にこの概念を立法に明記しその手法である職務評価を定着させることが必要です。公平で透明性のある賃金決定ルールを決める事は、企業における働き手のモチベーションが向上し、日本経済の向上に寄与することと考えます。

3.海外調査で得た成果・・詳細は「冊子・ILOへの旅」をご参照下さい

・日程:2007年9・8~9・17

・メンバー:総勢26名

研究者、弁護士、住友メーカー元原告、岡谷鋼機元原告、兼松原告、パート労働者

・訪問先:スイス—ILO、国連・人権委員会、

イギリス—公務労働組合(UNISON)、雇用審判所 Gey判事

英国・ILO条約勧告適用専門家委員 Cox判事

ILO・平等部 ショーナ・オルネイさんのお話の一部をご紹介

<ILO条約勧告適用専門家委員会の日本の分析について>

「雇用機会均等法が改正されて、配置などに関して差別が禁止されたにも拘らず、それが充分ではないというように見解は述べています。

専門家委員会はまた、雇用管理制度またコース別制度に関しても、女性の賃金に不利な影響を与えているという懸念を示しています。

また専門家委員会は政府に対して、同一価値労働同一賃金を法律上においてもまた実行上においても積極的に促進するよう求めており、また間接差別の平等賃金に対する影響にも監視を行うよう求めています。」

<100号条約の職務の概念について>

「この職務の価値といいますと人の価値とは別のものです。

その人が何を職務で求められているか、何をしなければいけないかということが問題になると思います。これがコース別制度とで違うところで、コース別制度というのは歴史的に作られた価値をみますと、その人あるいはその人の可能性をみるもので、それが条約との違いで問題になっているところだと思います。」

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